他の利用者への迷惑行為が何度もあると退去勧告も考えなければなりません。大声や奇声、暴言や暴力をはじめ、金銭的なトラブルや他の利用者の私物や備品を盗んだり壊したりを繰り返していると、他の利用者の安全と平穏な生活を守れないからです。
ただ、一度トラブルが起きたぐらいでは、よほど悪質でない限りは様子を見たほうがいいでしょう。利用者がなぜそのような行動を取るのか、原因や意味を分析すると見えてくるものがあります。たとえばストレスやコミュニケーションのつもりというケースです。行動障害と呼ばれますが、職員のアプローチ次第では大きく改善します。ただ、改善せずに迷惑行為が続くようなら退去勧告も頭に入れておきましょう。
グループホームに入所するにはお金が必要です。家賃をはじめ、食費、水道光熱費、日用品の費用などが発生します。家賃は国や自治体から家賃補助が出ているため約4万円前後が相場です。その上にさまざまな費用が加わると月々8万円程度かかります。
グループホームのサービス利用料金の支払いがむずかしくなると、連帯保証人や身元引受人が、利用料金を支払わなければなりません。ただ、連帯保証人や身元引受人が支払わないとグループホームは困ることになります。結果、退去勧告をするしかないのです。
専門スタッフは日常生活で困ったことがないか相談に乗る姿勢が求められます。認知症認定を受けている場合、悪徳業者や詐欺にひっかかっている可能性もあるからです。スタッフが知らない間に騙されてしまい、お金を奪われて利用料金が支払えないケースもあります。そうならないように普段から不安な表情をしていないか悩んでいるふしはないか観察が必要です。
参照元:福祉経営サポートセンターHPhttps://welfare-management.com/column/1452/
長期入院も退去勧告をされる可能性があります。グループホームの前提は、障がいがあっても障害支援区分が低く、医療的ケアもあまり必要ない方が多く入居しています。
長期入院によって医療的ケアが増えることが推測できる場合には、グループホーム側が退去勧告をするケースがあります。長期とは基本的に3ヶ月が目安になります。ただし、法的に決まっているわけではなく、あくまで目安でしかなくグループホームごとに違う点は注意が必要です。
グループホームの経営状況がよくなく、空室で収入が大幅に減少する施設においては、1ヶ月以上の入院で退去勧告をせざるを得ない場合もあります。
利用者が「退去したい」というのは禁止されてはいません。自立して生活をしたい、自分に合っていない気がするという理由でも退去できます。スタッフは相談支援センターで相談支援専門員に相談して利用者の自立に向けた生活のための準備を進めてくれるでしょう。自治体も居住サポート事業をしており協力して話を進めます。
施設が合わないといわれたら、利用者に適したグループホームがないかサポートしましょう。同時に「どうして合わない」と感じてしまうのかチェックも必要です。合わないと感じる原因はグループホームの根本的な改善点の可能性もあります。
あくまで「合わない」という理由が利用者の個人的な性格や価値観なら改善はむずかしいかもしれません。ただ、一般的な問題なら、他の利用者からも「出たい」という要望が出てくる可能性もあるため注意が必要です。
退去要件は事前に伝えなければなりません。実際に生活する利用者に限らず家族もいるならきちんと伝えておくべきです。ホームページにも、利用者や家族がいつでも退去要件を確認できるように内容を記載したほうがいいでしょう。
退去要件を伝えていれば、日頃から注意してくれます。事前に入居するかどうかの判断材料になるのです。退去要件を伝えず、とつぜん「退去してください」では利用者も家族も困ります。次の入居先がない状態で準備なく放り出すとなればトラブルに発展しかねません。
ただ、退去勧告をしても一般的には90日間の猶予があります。グループホーム側も転居先のサポートが必要です。
退去勧告の説明をするなら事実ベースでしてください。どうして退去勧告になったのか、客観的に経緯や利用者に伝えてください。そのためにも職員間で介護記録を残すのが重要です。記録方法は統一してください。
日々の介護記録は退去勧告をしなければならなくなった客観的な根拠になります。きちんと介護記録を残して伝えれば、利用者に限らず先方の家族も納得してくれやすいでしょう。
また、退去勧告の理由が暴力行為の場合、備品が壊れる、壁に穴が空いてしまうケースもあります。当然、原状回復費用を求めることが可能です。原状回復費用の請求も、日々の介護記録は根拠となります。
退去勧告は利用者に限らず家族もとつぜんいわれれば困る行為です。ただ、他利用者やグループホームのためにも勧告が必要な場合もあります。トラブルに発展しがちな部分のため、日々の記録は重要です。
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