障がい者グループホーム施設を建てるときに知っておきたい、建築基準法や消防法などについて基礎知識をまとめています。
障がい者グループホームを建てるときの建築基準法のポイントは【市街化調整区域は原則NG】【耐震基準のクリア】【検査済証、確認済証、建築士による適合証明】の3つです。
市街化調整区域は、各地方自治体の都市計画法で指定されています。簡単にいえば、都市化しないように決められたエリアで、目的は無秩序な都市化を抑えることです。ただし、市町村の中には市街化調整区域でも例外的に障がい者グループホームが認めているところもあるため、あきらめる前に行政へ確認してみてください。
耐震基準では、新しく建築する場合1981年の新耐震基準を満たさなければなりません。1981年以前の旧耐震物件を見つけて活用したい場合は、耐震診断が必要です。
検査済証や確認済証、建築士による適合証明という3つの適合証明は、建築基準法の審査をクリアしないともらえません。市によって検査済証がないと認可を出さない、確認済証があればいいと異なるため事前確認が必要です。
障がい者グループホームの建物は、特定防火対象物に指定されており、特に消防用設備の設置基準は厳しく設定されています。特定防火対象物は1~20項に分けられており、医療関係は第6項に記載。避難が困難な障がい者を主に入居させるホームを対象とした6項のロと、それ以外の6項のハに分類されています。
避難が困難な障がい者を主として入居させるホームとは、実際に避難ができるかできないかも大切ですが、障害区分がポイントとなります。目安として、障がい支援区分が4以上の入居者が定員のおおむね80%になると6項のロに分類されます。
また、6項のロと6項のハでは、必要設備の条件が異なります。平成27年4月1日施工消防法令改正による設置基準では、6項のロは、消火器・自動火災報知式・火災通報装置・スプリンクラーが必須で、防火管理者は収容人数10人以上です。
一方、6項のハは消火器や自動火災報知機が必須で、火災通報装置は延床面積500㎡以上なら設置しなければなりません。スプリンクラーは、平屋を除いた延べ床面積6,000㎡以上、防火管理者は収容人員30人以上です。初期費用に影響するため、念頭に置いておきましょう。
原則1人部屋ですが、夫婦や利用者へのサービスを提供する上で必要なら2人でもOKです。
他の居室とははっきりと区分され、カーテンや簡易パネルで室内を区分したものは認められません。面積は収納設備などを除いて7.43㎡以上(約4.5畳以上)必要です。
利用者同士の交流ができるスペースです。利用者の安全性にも配慮が必要で、死角がない設計が求められます。利用者以外にも従業員が集まっても対応できるだけの十分な広さが必要です。従業員の事務スペースや書類を保管する場所とも明確に分けなければなりません。
利用者の特性に応じたものにする必要があります。利用者はすべて同じ障がいではないので、それぞれの特性に対応した内容でないと生活利便性は損なわれます。その点を踏まえた設備が必要です。
お風呂と同様に利用者の特性に応じた設備が必要です。他の共有施設と同様に、安全に過ごせる環境が求められます。利用者の安全性も考えなければなりません。
トイレも同様に利用者の特性に応じたものが必要です。トイレはプライバシーが守られるべき場所ですが、利用者に合わせてトラブルがないような工夫が求められます。
台所も風呂や洗面所やトイレと同じ用に、利用者の特性に合わせた工夫が必要です。火を取り扱う場所でもあるため、利便性を確保するのと同時に、安全性への配慮が求められます。
安全性の確保は、障がい者グループホームを運営する上で必須です。平成25年、長崎市認知症高齢者グループホームで火災が起き、死者5名、負傷者7名を出しています。スプリンクラーの設置はなかったですが、消火器具や自動火災報知設備や火災通報装置、誘導灯も設置されていました。
しかし、火災時、自動火災報知設備は機能したものの、ほかは使用された形跡がなかったのです。誘導灯も一部でバッテリー切れがありました。この事故が契機のひとつとなり、消防法の一部改正が行われました。導入費用はかかりますが、痛ましい事故を起こさないためにも、必要な費用と考えましょう。
消防法を違反すると厳しい罰則が課されます。安全性を確保しないと、利用者も安心して暮らせません。安全確保のための設備と同時に日頃の避難訓練も必要です。
基本的に立地にも注意が必要です。選び方を誤ると利用者の生活利便性は落ちますし、地域から孤立することになりかねません。住宅地の購入と同様に、利用者家族や地域住民と交流ができるエリアであることが大切です。
また、入所施設や病院の敷地内での開設は認められていません。原則、生活介護や自立介護、就労移行支援のような、日中サービスを提供する施設と同じ敷地や隣接地も認められていません。
障がい者グループホームは共同生活住居とサテライト型住宅があります。サテライト型住宅は、一人暮らしに近い形態ですが、共同生活住居という本体ありきの施設です。本体住居からおおむね20分圏内と定められています。その他細かなルールが設けられているため、違反しないよう、立地場所の見極めは大切です。
利用者が「住みたい」と思える立地が理想です。商業施設が近い、就労支援のような通所先まで通いやすい、交通機関が充実している立地がいいでしょう。駐車場も確保していれば、家族や友人も訪問しやすいです。基本的に一般的な住居に多くの人が求める立地条件と同じだと考えるとイメージしやすいでしょう。
経営者やスタッフにとって嬉しい立地は利用者とは違う観点が必要です。協力する医療機関が近い、通勤しやすい環境が当てはまります。
放課後等デイサービスを新しく始めるために、その施設や設備はとても重要です。
法的な基準もクリアしなくてはなりませんし、安全性も確かなものである必要があります。
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