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総量規制と障がい者向けグループホームの関係

ここでは、障がい者グループホーム等を対象にしている自治体の総量規制について詳しく解説しています。

障がい者福祉事業の運営にかかる費用の多くは、税金でまかなわれています。そのため、いかに社会的意義のある事業とは言え、市場参入や運営を事業者の自由意志にまかせることはできません。障がい者福祉事業は、自治体が定めた一定の枠組み(総量規制)のもとで行われることになります。

総量規制とは何か?

総量規制とは、「なんらかの事業などを展開する際、その指定権を持つ自治体などが事業に制限をかけること」を言います。障がい福祉サービス業界にも総量規制があり、厚生労働省の資料では次のように定義されています。

都道府県等は、指定権限を有する一部の障害福祉サービス等について、都道府県等の障害者福祉計画・障害児福祉計画の達成に支障を生ずるおそれがあると認めるとき(計画に定めるサービスの必要な量に達している場合等)には、事業所等の指定をしないことができる。
引用元:厚生労働省「制度の持続可能性の確保等について②」
(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000932564.pdf)

かみくだいて言えば、「自治体の障がい者福祉計画の目標達成に支障をきたす可能性がある場合には、たとえ申請があっても障がい者福祉事業所の開業を認めないことがある」ということです。規制の対象とされているサービスは、生活介護、就労継続支援A型、就労継続支援B型、障がい者支援施設、児童発達支援、放課後等デイサービス、障がい児入所施設となります。

具体的な規制項目の有無や内容は自治体によって異なるため、詳細は管轄の自治体に確認する必要があります。

もし自治体の総量規制が入った場合、事業所の指定を受けられず、グループホーム事業をはじめることができなくなります。

障がい福祉サービスの総量規制状況は各地域ごとに異なる

「具体的な規制項目の有無や内容は自治体によって異なる」と説明しましたが、その例として水戸市が規定している総量規制について見てみましょう。

水戸市では、次の4つのサービスを総量規制の対象としています。

1.生活介護
2.就労継続支援B型
3.障害者支援施設
4.児童発達支援

引用元:水戸市「【事業者向け情報】障がい福祉サービス等の一部について総量規制を実施しています」
(https://www.city.mito.lg.jp/page/3701.html)

厚生労働省が総量規制の対象として挙げている「就労継続支援A型」「放課後等デイサービス」「障がい児入所施設」が含まれておらず、その点において自治体独自の規制対象が設定されていることがわかります。

ただし水戸市では、次に該当する事業者に対し、例外的に総量規制を適用しないと定めています。

ア 行動障害がある障害児者や医療的ケアを要する障害児者(重症心身障害児者を含む)を支援の対象とするサービスを提供しようとする場合
イ 障害者支援施設において施設入所支援と生活介護を一体的に提供することにより、障害者支援施設の入所待機者の解消に資する場合
ウ 就労継続支援B型事業所が農福連携を行い、利用者の工賃向上を図ろうとする場合

引用元:水戸市「【事業者向け情報】障がい福祉サービス等の一部について総量規制を実施しています」
(https://www.city.mito.lg.jp/page/3701.html)

これら3つの規定も、自治体独自の規定と考えて良いでしょう。

なお、これら3つの例外規定を受ける場合、事業者は事業計画書を提出のうえ水戸市と協議を行い、事業計画書を市から承認してもらう必要があります。

なぜ障がい者向けグループホームに総量規制が掛かるのか?

障がい者向けグループホームの社会的ニーズの増加に鑑みれば、事業者が増えることは好ましいと考えられます。好ましいにもかかわらず、なぜ自治体は事業者に総量規制をかけるのでしょうか?

その背景にはさまざまな理由がありますが、主な理由が、行政と事業参入者との目的のミスマッチです。たとえば、行政としては「重度障がい者の受け皿を増やしたい」という目的があることに対し、事業参入者には「軽度障がい者の受け皿から始めたい」という目的があるような場合です。

障がい者向けグループホームの運営にかかる費用の多くは、自治体の税金でまかなわれています。いかに社会的な意義のある事業とは言え、税金を無尽蔵に使えることができない以上、自治体と事業参入者との目的に相違があれば総量規制の対象となることはやむを得ません。

自治体の目的に合致しない障がい者向けグループホームについては、今後も総量規制の対象になる可能性があるでしょう。

まとめ

障がい者向けグループホームのニーズは拡大中で、現状、施設が不足している状況です。将来的にも成長性の高い市場とされているため、事業者の視点から見れば魅力的な市場となるかもしれません。

ただし、障がい者向けグループホームの存在理由は、あくまでも社会福祉であることを忘れてはいけません。社会福祉という本来の目的から少しでも脱線するような発想をもって事業所を運営すれば、徐々に社会的ニーズから乖離し、やがて経営は衰退していくことでしょう。利用者のことを真剣に考え、社会貢献に向けた強い決意のもとで事業を運営しなければ、経営が非常に難しい市場であることを深く自覚する必要があります。

ただし、逆に言えば、利用者のことを真剣に考え、社会貢献に向けた強い意志を持って事業所を運営できるならば、非常に有利な市場であるとも言えます。

社会福祉の原点に立ち、確固たる信念・哲学を事業所に根付かせる決意のもと、障がい者向けグループホームの開業を検討してみてください。

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