フランチャイズで失敗する人の一例として、フランチャイズ契約を交わす際に起こりうるトラブルやリスクを把握していない人があげられます。このページでは、フランチャイズ契約におけるトラブルについて、契約の前後や契約中など、タイミング別に解説しています。
フランチャイズ契約前に起こりやすいトラブルの事例として、フランチャイズ本部からの強引な勧誘は少なくないでしょう。
例えば、フランチャイズ契約や開業について考えるため、比較検討の材料を得ようと問合せの電話しただけにもかかわらず、その後に何度も勧誘の電話がかかってきたり、しつこくDMが届いたりといったトラブルがあり得ます。
フランチャイズ本部にとって加盟店の増大は重要な目的であり、勧誘は積極的に行われる業務です。しかし、強引な勧誘に根負けして十分な比較検討を行わないままフランチャイズ契約を結んでしまえば、後々になって「こんなはずじゃなかった」と問題が生じてしまうリスクが増大します。
フランチャイズ契約を正式に結ぶ前に、様々な相談やサポートを得ようと仮契約を結ぶ場合があります。しかし改めて契約内容について相談し、冷静に事業計画などを検証した結果、契約すべきでないと思い直すことはあるでしょう。また、当初の想定通りに金融機関などからの融資を受けられず、開業資金が準備できないといったこともあります。
そのような際に、フランチャイズ本部がキャンセルを受け付けてくれないからと、当初の事業計画と比べて不十分な状態で開業にのぞんでしまえば、結果的に破綻や倒産のリスクが高まります。
開業資金を用意できなかったり、事業計画に不安を抱いたりといったことは加盟店側の事情ですが、フランチャイズ本部の不備によって契約前のトラブルが生じることもあるでしょう。
その一つが、開業店舗を見つけられなかったというケースです。
フランチャイズ本部が開業に適した店舗を探すという例は少なくありませんが、条件に合致する物件がなかなか見つからず、トラブルに発展してしまう場合もあります。
開業に向けた準備を進めているにもかかわらず店舗が見つからなければ、運転資金が目減りしてしまうなど条件がどんどん厳しくなっていきます。
フランチャイズ契約では事前に事業計画を立てて、どの程度の収益があるか予想や試算が行われますが、実際は必ずしも計画通りの数値になるとは限りません。
事前の計画や試算よりも大幅な黒字であれば問題ありませんが、現実的にはシミュレーションの甘さによって想定していた収益を得られないといったケースが多くなります。
想定していた収益に足りなければキャッシュフローが悪化して運転資金の減少が加速化し、破綻リスクが増大していくため、早急に計画の見直しなどを行わなければなりません。
開業しても最初は色々と想定外のことが起こりやすく、そのたびにフランチャイズ本部へ相談して解決策を考えることが大切です。しかし、中にはいざ開業してしまうと担当者が新しい契約候補者へ付きっきりとなり、自分の相談になかなか応じてくれないというトラブルがあり得ます。
また、初めて店舗や事業を経営する人にとって。相談相手がいないことは精神的にも大きな負担となりやすく、事業面でもメンタル面でも悪影響が拡大していくでしょう。
フランチャイズ契約を交わす上で、周辺に同じフランチャイズへの加盟店が出店しないように担保されているかどうか確認することは重要です。
契約書に「同じ商圏で系列店舗は展開しない」といった文言が記載されていれば良いものの、そういった条件がなければ同じフランチャイズ契約を交わした加盟店が競合他社として近隣に出店することも考えられます。
その結果、加盟店同士で客を取り合うことになり、両方の店舗で収益率が低下してしまいかねません。
フランチャイズ本部からのサポートが足りないというトラブルと似ていますが、特に求人募集を本部が行うという条件の場合、オーナーが人材募集を行えないこともあります。しかし、求人募集には広告費や面接業務といったコスト・労力が必要になるため、本部が十分な求人募集や採用活動を行わないというトラブルが考えられます。
人手不足で店舗が回らなくなればサービス品質が低下する上、負担がオーナーや他の従業員へ集中して一層のリスクが拡大するでしょう。
何らかのトラブルが原因でフランチャイズ契約が終了となった際、フランチャイズ本部から契約違反を理由として損害賠償請求をされてしまう可能性があります。また、こちらが納得できずに賠償請求を拒否した場合、そのまま訴訟へ発展する恐れもあるでしょう。
契約違反の内容や実態についてオーナー側が納得していればスムーズに解決することもありますが、身に覚えのない理由で損賠請求がされた場合、深刻なトラブルに発展しがちです。
フランチャイズ契約は最初に契約期間が定められており、通常は自動更新という形で契約が継続されます。しかし、中には加盟店側で理由を把握していないまま契約更新が打ち切られるといったトラブルもあります。
加盟店側で契約更新を拒否するのでなく、いきなり想定していた契約更新が行われなかった場合、事業の継続が困難になって損害の規模が拡大してしまう点も重要です。
フランチャイズ契約を解約しようとしても、契約期間の途中で解約する場合、違約金の支払いを求められることもあります。
そして違約金が支払えないため正規の解約へ進むことができず、トラブルに発展してしまうこともあるでしょう。
競業禁止規約とは、例えば「フランチャイズ契約を解除してから1年間は、同じエリアで同じ業種の店舗を出店したり、事業を始めたりしてはならない」といった規約です。
競業禁止規約は解約の理由を考慮しない場合が多く、仮にフランチャイズ本部の都合で契約を解除することになったとしても、競業禁止規約を無視して同業種の営業を続けようとすれば損害賠償請求をされてしまうリスクがあります。
そのため、競業禁止についての項目は必ず契約前に確認しておかなければなりません。フランチャイズ契約に限りませんが、誰かと契約書を交わす場合、それに書かれている内容について細部までチェックして、納得するまでサインしてはいけません。
また、契約書の項目や書き方に疑問を抱いたとして、それについてフランチャイズ本部の担当者が誠実に説明や回答を行ってくれない場合、そもそもビジネスパートナーとして信頼に足らないといった判断もできます。
契約書を細部まで確認することは、むしろ本部との信頼関係の構築に必要なことだと覚えておきましょう。
インターネットの口コミサイトやSNSなどをチェックして、フランチャイズ本部とすでに契約しているオーナーからの口コミや、加盟店を利用している顧客からの評判などにも目を通しておきます。
特定の加盟店だけマイナス評価の場合、そのオーナーに問題があることもあり得ますが、全体的に不評や不満が多い場合、そもそもフランチャイズ本部が正常にサポートを行えていない可能性もあります。
フランチャイズ契約において、契約する相手はフランチャイズ本部であったとしても、実際にサポートを行ってくれるのは各エリアの担当者である場合が大半です。そのため、自分の担当者との間に信頼関係がなければ、フランチャイズ契約後のトラブルが発生しやすくなり、また問題が生じた時に速やかな解決策を検討することが難しくなります。
契約前は積極的に連絡してきた担当者が、契約後はほとんど連絡してこないといったことがないよう、オーナー側からも意欲的にコミュニケーションを取って信頼関係の強化に努めておきましょう。
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